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国が持つ外貨の儲けは、減税に回せないのか?

この記事で分かること

「国は円安で儲かっている」「特別会計は400兆円もある」。そう聞いて、それなら減税や物価高対策に回せるのではないか、と思った人もいると思います。

国が持つ外貨の運用は、財源の話にも出ています。その外貨を管理しているのが、外国為替資金特別会計です(ニュースでは「外為特会」と呼ばれます)。国が為替介入に使うドルなどの外貨と、その利子を管理する、国の財布の1つです。2026年の衆院選のころ、時事通信は2月4日の記事で、高市首相が1月31日の応援演説で、外為特会の運用が好調だという趣旨に触れたと報じています。政党の政策にも記述があります。国民民主党は、2026年2月16日更新の政策のページに、外国為替特別会計(党のページの表記)の資産を財源として活用する旨を書いています※1。立憲民主党も、2025年の参院選の「主な政策項目」に、為替評価益を含めた純資産全体で健全な財務状況を維持できている場合には、外国為替資金特別会計の決算剰余金の全額を一般会計に繰り入れる旨を書いています。

※1 この記述がいつ書かれたかは、後半の「断定できないこと」。

国の財布は、一般会計のほかに、事業ごとに分けて管理する特別会計がいくつもあり、その歳出は令和6年度決算で407.4兆円です(財務省)。そんなにあるのなら、なぜ減税や物価高対策に回せないのか。そう感じる人もいると思います。

結論

では、国が持つ外貨の儲けは、減税に回せるのか。答えは、2つの額で分かれます。

毎年の剰余金は、すでに一般会計に入って使われています。含み益は、円にしても短期の借金の返済に充てる決まりで、減税の財源にはできない、というのが国の説明です。

※2 この国の説明の出典と、含み益の仕組みは、節4にあります。

毎年の剰余金の中身が、ほとんど外貨資産の利子などの運用収入であることは、節3で書きます。

では、400兆円は、重なりと借り換えを引くと実際にはいくら使われていて、外国為替資金特別会計の儲けは、そのお金の出入りのどこにあるのでしょう?

1 400兆円は、重なりと借り換えを含む額

「特別会計は400兆円」の400兆円は、特別会計13会計の歳出決算を、そのまま足した額です。令和6年度(2024年度)は407.4兆円でした。

この足し算には、同じお金が2回以上入っています。たとえば一般会計は、国債の返済のために、国債整理基金特別会計へ25.7兆円を入れました。地方交付税のために交付税及び譲与税配付金特別会計へ19.7兆円、年金のために年金特別会計へ13.8兆円を入れています。これらは一般会計の歳出に1回、受け取った特別会計の歳出に1回、数えられます。特別会計どうしの間で渡すお金や、1つの特別会計の中の勘定の間で渡すお金も同じです(財務省の決算書)。

もう1つは国債の借り換えです。満期になった国債を返すために、新しい国債を出してお金を集める分で、国債の返済として歳出に入り、新しい国債の発行は歳入に入ります。

財務省は、一般会計と特別会計を合わせて、この重なりと借り換えを引いた「純計」を出しています。次の式の255.4兆円は、特別会計だけでなく、一般会計を足した後の額です。

項目金額
特別会計の歳出407.4兆円
+一般会計の歳出123.0兆円
=合計530.4兆円
-会計どうしの重なり142.1兆円
=差引388.3兆円
-国債の借り換え133.0兆円
=実際の支出(純計)255.4兆円

注:四捨五入のため、上から順に引くと0.1ずれます(丸める前の額は、388,341,954百万円から132,974,644百万円を引いて255,367,310百万円)。

令和6年度決算の純計は255.4兆円です(財務省 統計「一般会計及び特別会計決算純計」)。会計どうしの重なり142.1兆円には、一般会計と特別会計の間・特別会計どうしの間・勘定の間の繰入れのほか、財政融資資金の運用による利子の支払と受取などが含まれます。財務省の決算の表には、特別会計だけの純計は載っていません。そのため、この記事は一般会計と合わせた255.4兆円で見ます。

400兆円から実際の支出255.4兆円までの足し引き(令和6年度決算、兆円)。特別会計13会計の歳出407.4に一般会計の歳出123.0を足して530.4、会計どうしの重なり142.1を引いて388.3、国債の借り換え133.0を引いて、実際の支出(純計)255.4

2 実際の支出255.4兆円は、どこへ行くか

財務省は、この255.4兆円を使い道ごとに分けた表も出しています(令和6年度決算、第18表)。使い道を足すと、255.4兆円になります。

使い道金額(兆円)
社会保障関係費96.1
国債費(国債の返済と利払い)80.6
地方交付税交付金19.9・地方特例交付金1.1・地方譲与税譲与金3.124.2
公共事業関係費8.7
防衛関係費8.6
文教及び科学振興費6.9
そのほか(エネルギー対策3.6・食料安定供給2.0・経済協力0.8・中小企業対策0.8・恩給0.07・その他の事項経費23.0)30.3
合計255.4

出典:財務省 統計「一般会計及び特別会計の主要経費別純計」(令和6年度決算、借り換えの国債の返済を除いた額)。金額は四捨五入のため、足すと0.1ずれることがあります。

社会保障関係費の96.1兆円の中身は、年金給付費55.6兆円・医療給付費23.6兆円・介護給付費3.3兆円・少子化対策費4.7兆円・生活扶助等社会福祉費5.4兆円・保健衛生対策費0.7兆円・雇用労災対策費2.8兆円です。

この中に、国の負担の割合や額が、法律に書かれている経費が6つあります。

経費令和6年度決算(兆円)国の負担の決まり※3
年金給付費55.6基礎年金の費用の2分の1など(国民年金法 第85条)
医療給付費23.6協会けんぽは給付費の1000分の130〜200、国民健康保険は100分の32など(健康保険法 第153条・国民健康保険法 第70条)
介護給付費3.3費用の100分の22(施設等は100分の15。介護保険法 第121条)
国債費80.6国債の償還金と利子の支払(特別会計に関する法律 第40条・第42条)
地方交付税交付金19.9所得税・法人税の33.1%、酒税の50%、消費税の19.5%、地方法人税の全額(地方交付税法 第6条)
義務教育費国庫負担金1.6教職員の給与等の3分の1(義務教育費国庫負担法 第2条)

※3 条文は、後半の「6つの経費の条文」にあります。

6つの経費の額を足すと184.6兆円で、255.4兆円の72.3%です(55.6+23.6+3.3+80.6+19.9+1.6=184.6。財務省 統計と各法律の現行の条文から、当メディアが計算)。

「400兆円もあるなら」への、使い道の側の答えの1つは、実際の支出の7割強が、国の負担の割合や額が法律に書かれた経費だということです。ただし、条文が定めているのは、各経費のうち国の負担や繰入の割合・額で、経費の全額ではありません。たとえば年金給付費の55.6兆円のうち、国の負担は基礎年金の費用の一部で、残りは保険料などでまかなわれます。6つの経費の額の決まり方も、それぞれ違います。法律で決まっている割合や額は、国会が法律を改正すれば変わります。

財務省の第18表は、使い道(主要経費)ごとの分け方で、「自由に使える分」と「決まっている分」の区分は載せていません。

ここまでは、255.4兆円の使い道、つまり支出の側です。「出入りのどこ」の答えは、こうです。外為特会から一般会計への繰入は、支出の側ではなく、一般会計の収入(歳入)の側にあります。令和2〜6年度の決算では、毎年1.4兆〜3.2兆円が、翌年度の一般会計の歳入に入りました。

このうち令和6年度決算から入った3.2兆円は、令和7年度の歳入です。使われる年度にそろえるため、令和6年度決算の純計255.4兆円ではなく、令和7年度の当初予算の歳出純計254.9兆円(一般会計と特別会計を合わせ、重なりと借り換えを引いた額)で割ると、約1.3%です(3.2兆円÷254.9兆円。額の大きさの比べで、当メディアの計算)。実際の支出に対して、外為特会から一般会計への繰入は1.3%ほどの大きさです。次の節で、その中身を見ます。

3 国が持つ外貨の儲けは、毎年その一部が一般会計に入っている

外国為替資金特別会計は何のために外貨を持つか

外国為替資金特別会計は、特別会計に関する法律の第71条で、政府が行う外国為替等の売買を円滑にするために外国為替資金を置き、その経理を明確にすることを目的とする、とされています。財務省は、為替相場の安定(為替相場の急激な変動のときの為替介入など)のために設けられている、と説明しています。

国会でも、同じ説明が繰り返されています。緒方国際局長は2026年4月22日の衆議院財務金融委員会で、外為特会が保有する外貨資産は、外国為替相場の安定を目的として、将来の為替介入等に備えて保有しているものだと答え、収入を最大化するために保有しているというよりも、相場の安定を最大限の目的として保有している、と述べました。

毎年の決算:儲けは「剰余金」になる

外為特会は、毎年度、歳入から歳出を引いた残りを「剰余金」として出します。この記事では、数字を言うときは、剰余金(毎年の決算の残り)、繰入(そのうち一般会計に入る額)、含み益※4と言い分けます。「運用収入」は、剰余金の元になる外貨資産の利子などの収入です。令和6年度の決算は、次のとおりです(財務省)。

※4 含み益は、節4で書きます。

項目金額
歳入(外貨資産の利子などの運用収入・売買差益・前年度剰余金受入など)5.71兆円
-歳出(政府短期証券の利払いなど)0.35兆円
=剰余金5.36兆円

この剰余金5.36兆円は、3つに分かれました。

項目金額
外国為替資金に組み入れ1.37兆円
+一般会計に繰り入れ(令和7年度の歳入へ)3.20兆円
+外為特会の翌年度の歳入に繰り入れ0.79兆円
=剰余金5.36兆円

令和7年度の決算(令和8年7月31日公表)では、剰余金5.1兆円のうち、一般会計へ3.1兆円(令和8年度の歳入へ)、外国為替資金へ1.3兆円、翌年度の歳入へ0.6兆円です。

この繰入は、毎年あります。

決算の年度剰余金(兆円)一般会計へ繰入(兆円。入った年度の歳入)
令和元3.442.59(令和2年度)
令和22.901.92(令和3年度)
令和32.301.42(令和4年度)
令和43.482.84(令和5年度)
令和53.892.01(令和6年度)
令和65.363.20(令和7年度)
令和75.063.13(令和8年度)

出典:財務省 各年度の決算ページ・令和7年度特別会計の決算概要(令和元年度は会計検査院の決算検査報告)。令和5年度は、このほかに防衛力強化一般会計への繰入1.2兆円が、外為特会の歳出に入っています。

財務省の特別会計ガイドブック(令和7年版)は、外為特会は昭和57年度以降、ほぼ毎年一般会計に繰入れをしており、令和7年度までの過去5年間(令和3〜7年度)で12.6兆円を繰り入れたと書いています。ガイドブックは、一般会計に入った年度で数えています。上の表では、同じ5回分が、決算の年度でいうと令和2〜6年度の行です。その合計(1.92+1.42+2.84+2.01+3.20=11.4)に、令和5年度中に繰り入れた防衛向けの1.2兆円を足した額が12.6兆円です。片山財務大臣は2026年5月26日の参議院財政金融委員会で、剰余金は留保する部分を除いてすでに一般会計に繰り入れ、防衛財源などにも活用していると答えました。

外国為替資金に組み入れる分は、評価損に備える積み立ての性格を持ちます。財務省の決算ページは、組入れの目安を「保有外貨資産に発生する評価損を概ね下回らない水準」、すなわち保有外貨資産の100分の30と説明し、中長期的にはこの水準まで組入累計額が達することが望ましいとしています。組入れの累計は令和6年度末で約30.2兆円で、保有外貨資産の約22.4%です(財務省 特別会計ガイドブック令和7年版)。目安にはまだ届いていません。財務省は同じガイドブックで、22.4%にとどまっていることから、毎年度の剰余金の30%以上を外国為替資金に組み入れて割合を高めていくことを基本とし、そのうえで外為特会の財務状況や一般会計の財政状況も勘案して一般会計への繰入額を決める、と説明しています(目安の30%は保有外貨資産に対する割合、毎年の「30%以上」は剰余金に対する割合で、別の30%です)。

目安に届いていないなかで剰余金を使うことについて、鈴木財務大臣は2023年6月8日の参議院で、防衛力強化の財源確保が必要だったことと、為替介入で内部留保比率が上がり財務状況の改善が見込まれたことを勘案し、「三〇%というガイドライン」を満たしていないがこれを活用する、と答えています。

外国為替資金特別会計の令和6年度決算の剰余金5.36兆円の行き先。外国為替資金に組み入れ1.37、一般会計に繰り入れ(令和7年度の歳入へ)3.20、外為特会の翌年度の歳入に繰り入れ0.79

儲けの中身:売買の益ではなく、ほとんどが外貨資産の収入

「国は円安で儲かっている」と聞くと、ドルを売買して出た益が国に入っている、と思う人がいると思います。決算の歳入では、売買の益は小さい割合です。

外為特会の歳入のうち、当年度の収入(運用収入・外国為替等売買差益・雑収入の合計)に占める割合は、次のとおりです。

決算の年度運用収入外国為替等売買差益
令和288.9%6.7%
令和392.1%3.5%
令和490.9%5.1%
令和592.4%4.5%
令和692.7%7.2%

出典:財務省 各年度の決算ページ「歳入歳出決算の概要」から当メディアが計算(運用収入÷(外国為替等売買差益+運用収入+雑収入))。

収入の約9割は運用収入で、売買差益は3.5〜7.2%です。令和6年度の運用収入4.84兆円の中身は、次のとおりです。

運用収入の中身(令和6年度)金額(億円)
外貨証券の利子25,617
外貨預け金の利子6,588
償還益金11,020
そのほかの外貨建収入5,017
外貨証券の貸出料127
合計48,369

出典:財務省「外国為替資金特別会計財務書類」令和6年度(区分別収支計算書の内容に関する明細)。

運用収入は、利子だけでなく、償還益金なども含みます。また、外貨建ての収入を円に直した額なので、為替相場の影響を受けます。その影響の分は、この表からは分けられません。財務省の決算概要は、令和7年度の外為特会の剰余金の主な発生要因を、「保有外貨資産と円建負債(政府短期証券)の金利差」の運用収益と書いています。

売買差益は、売買を行ったときに生じた差額で、国は個々の介入の差益の額の公表を控えています(鈴木財務大臣 2024年5月28日 参議院財政金融委員会)。

減税に要る額との比べ

では、一般会計に入る3.2兆円は、減税に要る額と比べてどれくらいでしょうか。減税の例として比べるのは、閣議決定の大綱(令和8年9月15日)が令和9年4月1日から令和11年3月31日までの2年間としている、飲食料品の消費税の引下げです。大綱は、飲食料品の消費税率を、地方消費税と合わせて8%から1%にするとしています。

財務省の青木主税局長は、2026年7月16日の参議院財政金融委員会で、飲食料品を含む消費税の軽減税率(8%)を1%に引き下げた場合の減収見込額は約4.3兆円(ゼロに引き下げた場合は約5兆円)だと答えました。大綱の「1%」は、この8%から1%の場合にあたります。国と地方の合計の、機械的な試算で、片山財務大臣は同じ額を1年当たりの減収額として説明しています。大綱が定める引下げは2年間なので、4.3兆円は大綱の2年間の額ではなく、1年分の額です。

3.2兆円 ÷ 4.3兆円(国と地方の合計)= 約74%(当メディアの計算)

3.2兆円は令和7年度の一般会計の歳入に入った額で、4.3兆円は年度の指定のない1年分の機械的試算。この約74%は、1年分どうしの額の大きさの比べです。3.2兆円はすでに令和7年度の歳出に使われているので、減税に回すなら別の財源が要ります。消費税の国の分だけで割ると割合は大きくなり、地方の減収を国が埋め合わせる補塡の分を入れると小さくなります※5。

※5 計算は、後半の「前提と方法」にあります。

4 含み益50兆円は、帳簿の上の評価額

含み益とは何の額か

「外為特会に含み益が50兆円ある」と言うときの含み益は、財務書類の項目では「為替換算差損益」にあたります。令和6年度末(2025年3月31日)は50.3兆円です。財務省「外国為替資金特別会計財務書類」(令和6年度)の貸借対照表では、資産・負債差額80.7兆円のうち「為替換算差損益」が50.3兆円(50,251,532百万円)です。貸借対照表は、次のようになっています。

項目金額
資産合計191.4兆円
-負債合計110.7兆円
=資産・負債差額80.7兆円
うち為替換算差損益50.3兆円

為替換算差損益は、「外国為替等の評価替えに伴って生じる評価差損益額の累計」(法律の言葉では「評価益」「評価損」)と、財務書類に書かれています。保有する外貨の資産と負債を、決算の時点の為替相場で円に直した差の合計です。債券の価格が変わったことによる評価の差(資産評価差額)は、これとは別の項目です。ここでの「含み益」は、為替換算差損益のことだけを指します。

為替相場しだいで、この額は増えも減りもします(マイナスのときは、含み損にあたります)。

年度末為替換算差損益の累計(兆円)
令和2年度末(2021年3月31日)-11.5
令和3年度末+1.0
令和4年度末+19.5
令和5年度末+40.8
令和6年度末(2025年3月31日)+50.3

出典:財務省「外国為替資金特別会計財務書類」各年度の資産・負債差額増減計算書。令和2年度末が評価損だったことは、鈴木財務大臣が2023年2月3日の衆議院予算委員会で「マイナス十一・五兆円の評価損」と答えています。

令和7年度末(2026年3月31日)の額は、財務省のページに令和7年度の財務書類が載るまで、公表されていません(2026年10月時点で、財務省の外為特会のページに載っているのは令和6年度まで)。

決算の歳入に出ない理由

特別会計に関する法律は、売買の利益と、評価の替えによる利益を、別の条文で書いています。

売買の差益は、毎年の剰余金の元に入ります。評価益は、外国為替資金の評価益として別に整理されるので、決算の歳入には出ません。

国は、これを財源にできない理由をどう説明しているか

含み益を円にするには、外貨を売る必要があります。国は、その点について、次のように説明しています。

これらは国の説明です。

外貨を売って円にした実績は、為替介入(円買い・米ドル売り)の額で見られます。財務省の「外国為替平衡操作の実施状況」に出ています(円換算)。得た円は、上で書いたとおり、政府短期証券の償還に充てると国は説明しています。

時期円買い介入の額(兆円)
2022年(9〜10月)9.2
2024年(4〜5月・7月)15.3
2025年0
2026年(4月28日〜5月27日の期と、7月30日〜8月26日の期)27.1

出典:財務省「外国為替平衡操作の実施状況」(2022年・2024年は四半期計、2026年は4〜5月の分の11.7兆円と、7月30日〜8月26日の期の15.4兆円の合計。四捨五入のため合計が合わないことがあります)。

財務省の表は円換算の額だけで、売ったドルの額の欄はありません。

次の表は、含み益と毎年の剰余金の違いです。

含み益毎年の剰余金
額為替換算差損益 50.3兆円(令和6年度末)剰余金 5.36兆円(令和6年度決算)
何の額か保有する外貨を、決算時点の相場で円に直した評価額歳入から歳出を引いた、決算の残り
決算の歳入出ない(外国為替資金の評価益として整理)出る。一般会計へ3.20兆円(令和7年度の歳入)

出典:外国為替資金特別会計について、財務省の財務書類・決算、特別会計に関する法律 第78・79条。

5 次に「特別会計で減税」と聞いたら

この記事の問い、国が持つ外貨の儲けは減税に回せるのか、への答えは、毎年の剰余金はすでに一般会計に入って使われていて、含み益は財源にできない、と国は説明している、です。

飲食料品の消費税の引下げは、大綱で令和9年4月1日から2年間とされています。片山財務大臣は、飲食料品の消費税率を1%にした場合の1人1年あたりの減税額を約3万6千円と説明しています(2026年6月22日 衆議院予算委員会)。その財源に「特別会計」「外為特会」を、という話を聞いたら、次の3つの問いに当てはめると、何の額の話かが分かります※6。

  1. 400兆円の話か:重なりと借り換えを含んだ額か、引いた後の純計か
  2. 毎年の剰余金の話か:すでに一般会計に入っている繰入と、どの年度の額か
  3. 含み益の話か:決算の歳入に出ない為替換算差損益か

※6 1は節1・節2、2は節3、3は節4で書いています。


後半(参照用)

言葉

言葉中身
特別会計一般会計とは別に、事業ごとに分けて管理する国の財布。令和6年度は13会計
外国為替資金特別会計(外為特会)国が為替介入に使うドルなどの外貨と、その利子を管理する国の財布
純計会計どうしの重なりと、国債の借り換えを引いた、実際の支出の額
剰余金歳入から歳出を引いた残り。外為特会では、外貨資産の利子などの運用収入が元になる
為替換算差損益(含み益)保有する外貨の資産と負債を、決算の時点の為替相場で円に直したときの差の累計。決算の歳入には出ない
政府短期証券外貨を買うための円を集めるために、外為特会が出した短期の借金の証書
為替介入為替相場の急な変動を抑えるために、国が外貨を売り買いすること。円買い介入は、外貨を売って円を買う

6つの経費の条文

節2の表の「国の負担の決まり」の条文です。

経費令和6年度決算(兆円)法律に書かれていること
年金給付費55.6基礎年金の給付に要する費用(保険料免除期間分などを除く部分)に法の計算式を当てた額の2分の1を国庫が負担する。障害基礎年金は100分の20(国民年金法 第85条第1項)
医療給付費23.6協会けんぽの給付費に、政令で定める割合(1000分の130〜1000分の200の範囲)で補助する(健康保険法 第153条)。国民健康保険は、国が都道府県に対し、市町村の療養の給付等の費用と、都道府県が納める前期高齢者納付金・後期高齢者支援金などの費用の合算額の100分の32を負担する(国民健康保険法 第70条)
介護給付費3.3介護給付に要する費用の100分の22(施設等は100分の15)を負担する(介護保険法 第121条)
国債費80.6国債の償還金と利子を支払う(特別会計に関する法律 第40条)。償還のための一般会計からの繰入は、前年度期首の(一般会計の負担に属する)国債の総額の100分の1.6(同 第42条第2項)
地方交付税交付金19.9地方交付税の原資は、所得税・法人税の収入額のそれぞれ100分の33.1、酒税の100分の50、消費税の100分の19.5、地方法人税の全額(地方交付税法 第6条)
義務教育費国庫負担金1.6教職員の給与等に要する実支出額の3分の1を負担する(義務教育費国庫負担法 第2条)

前提と方法

断定できないこと

出典